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パコのサンチャゴ巡礼日記

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2016年 11月 29日

別れ、そして又出会い(27番~29番)

(11月2日)
遍路6日目となりました。綺麗な朝、最初の2日を除いて好天が続いています。
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朝6時からお勤めがありました。宿坊に泊まると必ずお勤めがありますが、サンチャゴ巡礼の修道院に泊まると大体ミサに出る事を進められるのと似ています。
食事の後昨夜のカナダ人(名前を旦那の方をジョン、奥さんをメアリーとしておきます)は昨日うち漏らした25番津照寺に戻ってお参りすると言います。自分達の今日の予定はまず第27番神峯寺を打ってから第28番、29番まで打ち、南国市(高知市の手前)まで行く予定ですが、第27番は“まっ縦”と言われる遍路転がしの難所です。麓からお寺までがとても急こう配になっているのです。ですので、タクシーを予約してあり麓に自転車を止めてタクシーで登る予定にしてありました。
“もし良かったら一緒に乗っていきませんか?”と誘い、“自分達はゆっくり行くからもし追いつける様だったら来てくださいね”と言って一旦お別れしました。
タンデムは二人で力を合わせて漕ぐ乗り物ですが、メアリーの方が足を痛めているらしくその分ジョンが大変そうなのも気になりました。追いついてくれるといいなと思いながら後ろ髪を引かれる思いで道を進めました。
途中の畑にサトウキビが植えられていました。和三盆は香川県の名産ですが、高知県でも作る人がいるのでしょうか。
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土佐湾が綺麗に見えます。
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吉良川という町を通りました。こちらの街並みは風致保存地区というらしいですが、なまこ壁に突き出た軒の様な構造物が特徴らしいです。雨の多い土佐地方ならではの工夫なのでしょうか。
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今頃どの辺りかなと気になりながら、彼らが追いつくのを待ちがてら街中を自転車で散策しました。
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10時前、奈半利の街中にパン屋さんがありコーヒーも飲める様でしたので立ち寄りました。こうしてぶらりと立ち寄れるのもきままな自転車旅の良いところです。ここでコーヒーを飲みながら気になっていた2人が今どこらへんにいるのかショートメールを送ってみました。
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23士のお墓がありました。23士とは幕末に尊王攘夷を唱える武市半平太に呼応して立ち上がったこの地域の若い武士達が藩内の意見が十分に熟しておらず反逆者として切腹をさせられた23人の若者たちの事を偲んで地元の人が今でも崇めているものです。前回は時間がなくて立ち寄れませんでしたので、今回は立ち寄ってみる事にしました。
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今日の日本の繁栄の影にこうした若者の命の犠牲があった事を忘れてはならないとの思いで胸を熱くしながら少しだけ佇んでいました。
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10前にタクシーの会社に着きました。ショートメールを見るとメアリーから回答が入っていました。“今10時10分、奈半利のパチンコ屋の前を通り過ぎたところです。”すぐそこまで来ていました。随分頑張ったのでしょう。“では橋を渡った信号のところで待っているから”と電話で伝えて、橋のところまで出て待ちました。
来ました、来ました。遠くに二人の姿が見えます。
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よく頑張ったものです。
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取りあえず二人の健闘を称えつつ再会を喜び合いました。
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早速タクシーに4人で乗り、まっ縦を登り第27番神峯寺をお参りしたのです。
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その名の通り急こう配の連続で自走で登らなくて良かったと胸をなでおろしました。タクシー会社の人も坂道の上り下りでエンジンがすぐダメになるとこぼしていました。(前回自分一人の時は麓に荷物を残して空身でしたが自走で登ったのを思い出しました。)
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11時前にお参りを済ませて、無事タクシーで降りました。(こちらもそうですが、山の上にあるお寺では納経所で“車ですか?”と聞かれます。“はい”と答えると駐車料金を請求されますので心の準備が必要です。)
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ここから先は彼らが追いついてくれたので4人での自転車旅となりました。2人旅も良いのですが、4人ではしるのは又楽しいものがあります。
“これは何か知っている?”と聞いたら、“ツナミの避難場所”と答えてくれました。東南海地震に備えてこの様な立派な構築物が建てられているのですね。
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お昼の時間になったので、“何を食べたい?”と聞くと“任せる”と言いますので、チェーンのうどん店に入りました。丁度お昼時で混んでいましたが、お手頃値段で美味しいうどんが食べられて喜んでいました。(さっきのタクシー代をシェアするというのをお接待だからと断ると、今度はお接待だからとうどん代を払って頂きました。)
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ここ安芸市にはサイクリングロードがあった筈です。前回は走れませんでしたので今回こそはとうどん店で店員さんに入り口を尋ねたところ余り詳しくはない様でしたが、それでもお店の外にまで出て一生懸命説明してくれました。
サイクリングロードは最初は堤防の横を走ります。
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その内だんだんとサイクリングロードらしくなってきました。聞けば電車の廃線になった軌道跡を活用しているのだそうです。
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青い土佐湾を眺めながらのサイクリング、とても気持ちの良いものです。
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展望所があったので休憩しました。
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琴が浜。メアリーによれば“昨日走った室戸岬までの景色は素晴らしかったけど、ここも素晴らしい”と言います。確かに同感です。
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サイクリングロードはさらに続きます。
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トンネルもありました。
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こうして快適なサイクリングは約20キロ位続いたのでした。
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国道55号線に出てすぐに「無人島長平の墓」という看板がありました。漂流譚の好きな自分としては通り過ぎるわけには行きません。早速立ち寄ってみました。
長平は18世紀末の人、この地から船出して難破し絶海の孤島鳥島で一人13年間、アホウドリを主食として生き延びて後から流れ着いた他の人達と流木を組み立てた船で無事に帰還を果たした日本のロビンソンクルーソーです。
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後の時代のジョン万次郎の先駆けともいえますが、遠洋航海に適した船の建造を禁止した幕府の鎖国政策の犠牲者でもあります。それにしても素晴らしい精神力、忍耐力には感動しました。カナダからの二人もうなずいていました。(ジョンの方は、万次郎の事は知っている様でした。)
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3時過ぎ、第28番大日寺につきました。
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早速お参りをします。
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ここも少し激坂を登ったところにありますが、こじんまりとした良いお寺でした。
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苔も綺麗でした。
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ここから次の第29番国分寺までは長閑なたんぼの景色の中を進みます。生姜畑、しょうがは高知県の特産物です。
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メアリーが突然言いました。
“とっても素敵。自分達の国ではこの花コスモスっていうんだけど、すごく綺麗!”
“本当に、日本でもコスモスだよ。”と答えました。
国は違っても感動する気持ちが通うのは嬉しい瞬間です。
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4時半、少し薄暗くなってくるころ第29番国分寺に着きました。
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屋根が茅葺なのでしょうか、とてもしっとりとした良い雰囲気のお寺でした。この辺りに来るとあれほどいた団体遍路も何故か姿を消して静かにお参りができました。
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一緒に般若心経を唱えるのですが、上手に読みますので手元にある紙を見せてもらいました。インターネットでとったのだそうですが、般若心経が漢字とローマ字、そしてその意味が英語で書かれていました。なるほど、中々優れものです。
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ワンコもお行儀よくご主人様のお参りを待っていました。
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そしてその晩は自分達の予約しているビジネスホテルに部屋を予約して一緒に泊まる事にしました。部屋は残念ながら2人部屋が空いていなくて1人部屋を2つになってしまったのが気の毒でした。
“食事はできますかか?”と聞けば、ホテルの“食堂は団体さんが沢山なので7時以降でないと用意できません”、とやる気なさそうな従業員の態度です。運よく隣にコンビニがありましたので、それではとめいめいに好きなものを買って部屋食にする事にしました。あとで食堂を覗いてみると、工事関係者と思しき沢山の人達で賑わっていました。昼間から気になっていたのですが、この辺り随分と道路工事が沢山あります。地方へのバラマキのお金がこういうところに使われているのかなと思いながらいましたが、ホテルまで関係者で占められていて一般の客(納税者でもあります)がコンビニ食で済ませなければいけない、という構造には“なんだかなぁ”と正直納得のいかないものを感じました。しかしながら、久々のベッドの感触は悪くなく1日のサイクリングの疲れもあってその晩もぐっすりと寝たのでした。
走行距離76.5km 総上昇量318m


by don-francisco | 2016-11-29 09:12 | 四国遍路2016(第2回区切打ち)


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